体育館の方から声がして、反射的に目を向けた。
 

「紗英」


 渡り廊下入り口にいる紗英が無邪気な笑顔で手を振ってる。

 すぐさま心が紗英に向かって歩き出す。
 

「なーにしてーんのー♪フフッ」

 
 紗英はスキップしながら、鼻歌交じりにご機嫌でこちらに向かってくる。

 
「落とし物拾ってあげてただけ」


 なんでもないことのように心が言って、またこころをえぐられる。
 
 
「あははっ、凛はおっちょこちょいだからね~♪ ねーみんな心のバク転見たいって!」

「おー任せろ」

「やったー♡」


 心は紗英を追い越して、体育館へ向かう。

 ふいに一緒に歩き出そうとした紗英が立ち止まって私を見た。


「りーんちゃんっ」