心の瞳がぐらりと揺れる。

 私はネックレスがのせられた手と反対の手で、心の服の裾を引っ張る。


「……!」

「心が恋してる人は……誰?」

「……」


 もし
 
 もし心の好きな人が私だったら


「……恋してる、人……?」
 

 私、諦めないよ

 全力で心を取り返しにいくよ

 だからお願い

 本当のことを教えて
 

「……」


 そのとき、心の目から光が消えて、手が離れた。


「俺が好きなのは紗英だよ」





 




 

「心!」