「……」


 触れた手から、熱くなる。

 心臓がドクドクとうるさくなる。

 こんな風になってるのは、きっと私だけ。

 私ばっかりドキドキしてるんだって思ったら、無性に悲しくなって、はやくこの場から逃げ出したくなった。



「……ぇ」


 ……のに。


 心が、手を離そうとしない。


 おそるおそる顔をあげたら、心と目があった。


「っ……」


 『好きだよ、凛』

 
 その目が、あの時と同じ苦しそうな、泣きそうな目で。

 胸をギュッと鷲掴みにされた。


「心……?」

「……」


 その目に、その手に。

 〝好きだ〟って言われてるみたいで

 無意識に、涙が出てた。


 それを見た心が、眉毛を下げて困ったような顔をする。

 それがまた愛おしくて、

 どうしようもなく心への気持ちが溢れ出した。

 
「心の好きな人って……誰……?」


 そう聞かずにはいられなかった。