「紗英⁉」

「! 凛……?」


 か細い声で私を呼んだ紗英は、目から大粒の涙を流していた。


「どうしたの⁉」

「あ、これは、えっと……なんでもないの……!」


 紗英は懸命に笑って、ごしごしと目をこする。
 

「なんでもなくないじゃん!なにかあったの?」

「……っ」

 
 紗英は顔をクシャッと崩してまた涙をこぼし始める。


(しん)が……っ、」


 紗英の口から飛び出した〝心〟という呼び名に、心臓がドクンと飛び跳ねた。
 

「遠足の、写真……見返してたら……っ、(しん)がいないこと実感しちゃって……悲しくなってきちゃって……っ」


 泣きながら一生懸命言葉を紡ぐ紗英に、私はなにも言葉が出てこない。


「私の……せいなの……っ」


 紗英は顔を押さえて、小さく震えながらそう言った。


「紗英のせい……?」


 どういうこと?