と、そんなこんなで海くんの了承が得られたことを、次の日、音央ちゃんに報告した。


「・・・ってことで、まあ結果的には海くんもOKってことでした」

「そっか!よかったぁ・・・」


 今は音央ちゃんといっしょに空き教室で報告会。


「ちなみに涼我のほうも、ちょっと戸惑ってたけどOKってことだったよ」


 昨日の放課後、私が海くんに了承をもらいに行っていたのと同時刻に、音央ちゃんは瀬名くんに了承をもらいに行っていたらしい。


「でもデートって、音央ちゃんは何する予定だったの?」

「私は今年リニューアルした遊園地があるでしょ?あそこ行こうかなって思ってたよ」

「あー・・・遊園地ね・・・」


 私の微妙な反応を見て、あ、と気づく音央ちゃん。


「そっか・・・あかりもいっしょってことは屋外はなしか・・・」

「・・・ごめん」

「ううん!むしろ私のわがままでダブルデートにしてくれたんだからいいの!」


 音央ちゃんはそう言ってにっこり笑った。


「でもじゃあどうしよう・・・」

「あかりたちは?どこ行こうか全然考えてなかった?」

「あー・・・私は考えてなかったけど・・・海くんは何個か案があるっぽかった」

「お、じゃあその海くん?の案から考えてみよっか」

「あー・・・でも海くん、当日まで内容は秘密って言ってて・・・」


 私の発言に音央ちゃんはうんうんうなずく。


「うーん、その気持ちわかる・・・好きな人をサプライズでエスコートして喜んでほしい!っていう恋心よね・・・わかる・・・」

「そ、そうなのかな・・・」


 実はどうやら音央ちゃんも瀬名くんには当日までデートの内容を秘密にしておくつもりだったらしい。

 そこで音央ちゃんの提案で、海くんと音央ちゃんがデートの計画をしてくれることになった。


「・・・で、これが海くんの連絡先ね」

「おっけ、ありがとう」


 海くんにも事情を伝えたうえで、海くんの連絡先を音央ちゃんにも伝えた。


「・・・でさ、デートの計画のことで一個、どうしても譲れないことがあって」


 そう話し出す音央ちゃんは、ぎゅっとスマホを握る手に力を込めた。


「何?」

「・・・デートの、日に・・・涼我に、告白しようと思うの」

「!!」


 音央ちゃんは緊張した感じで私を上目遣いで見やる。


「自信ないけど・・・応援、しててほしい」

「・・・・ん」


 音央ちゃんの恋を応援する。

 そう決めたんだから・・・答えはもう、決まっている。


「もちろん」


 その時の私は、うまく、笑えていただろうか・・・。