モニカが言い、その場にいる全員がクスクスと笑う。頭の中で思い浮かべていることは、恐らく同じだ。医療従事者あるあるの、一人のPHSに急患の電話がかかってきたら、他の人のPHSに次々と電話がかかっていくというものだ。

「仕事のこと、思い出しちゃいましたね」

桜士がそう言うと、一花も頷きながら「はい。今頃、救急科の方が落ち着いているといいんですが」と笑う。

数分ほど歩いてたどり着いたフードコートは、多くの人で賑わっていた。アルフレッドとナタリアがわかりやすい場所にあるテーブルを取り、クラウディオが言う。

「それじゃあ、みんな好きなものを頼んで来ようか。ここは日本だから、荷物を置いて行っても心配だしね」

海外では、荷物から少しでも目を離すことすら危険だ。そのため、日本では当たり前になっている荷物で席取りなどあり得ない。それだけ平和だということに、公安警察である桜士は誇りを持っている。

「あっ、みんなは先に注文しに行ってて。私はまだ何を食べようか迷ってるから」