桜士は、春の光景を思い浮かべながら言う。春を代表し、国民に愛されている桜の花は、春を思わせる苗字と名前を持った彼女によく似合っている。すると、一花はニコリと笑って言った。

「好きな花なんです、桜!」

自分のことを好きと言われたわけではない。だが、桜士の胸はトクンと高鳴っていくのだった。



その後も桜士たちは、服屋などをブラブラと見て回り、お腹が空いてきたため、フードコートに向かおうかと話していた。しかしーーー。

「ごめん、先行っててくれ!アメリカにいる友達から電話がかかってきちゃったんだ!」

アルフレッドがかばんの中からスマホを取り出し、走っていく。すると今度は、ナタリアのスマホが鳴り始めた。

「あっ、家族からだわ。ちょっとごめんなさい」

ナタリアは申し訳なさそうに言い、スマホを手に走っていく。その後ろ姿を見た後、オリバーが「次は誰に電話がかかって来るんだろうね」とニヤニヤしながら言う。

「そう言うと、本当にかかってきそうじゃないか」