「何だか、もったいないですね」

桜士は自然と思ったことを口にしていた。不思議そうな顔をする一花に、桜士はハーバリウムを一つ手に取って言う。

「綺麗な花が入ったハーバリウムは、四月一日先生にとてもよくお似合いだと思いますよ?」

「えっと、それはどういう……」

頰を赤く染めた一花に、桜士は顔を近付けて耳元で囁くように言う。可愛らしい反応をしてくれる一花を見たいと思ったため、桜士は今、大胆な行動を取っている。

「四月一日先生は、ハーバリウムに負けないくらい綺麗ってことですよ」

「き、きき綺麗なんてそんな……!」

桜士が少し口説いただけで、一花はさらに顔を赤く染める。その姿が愛らしく桜士が微笑んでいると、横から拳が飛んできたため咄嗟に避けた。

「テメェ、一花に何したんだ!!」

ヨハンが一花の前に立ち、桜士を睨み付ける。一花のセコムの登場に、桜士は内心舌打ちをしながらも、顔は笑みを浮かべていた。