「王子……、お褒めいただきありがとうございます。」



俺は頭を下げた。
すると王子は手を振りながら言った。



「乳兄弟にそんな話し方をされるとはな、普通に話してくれよ。」



「しかし……。」



「レオ、命令だ。」



「………まったく。嫌な命令をするな、王子様は。」



ははは、とお互い笑いあった。
そうだ、俺は王子と乳兄弟で赤子の頃からの付き合いなんだ。
二人のときは王子と王家を護る騎士ではなく、乳兄弟としていままでも語り合ってきた。



「ところでどうしてこんなところまで?」



「いや、暇を持て余していたからレオと一緒に森へ狩りの下見にでも行こうかと思ってさ。そろそろいい季節だろ?」



「あぁ、確かにそうだな。今すぐ行くのか?」



そう言うとニコッと王子は微笑み、勿論今すぐだ!と答えた。
じゃあ準備をしてくるのでちょっと待っててくれと王子に言い、馬の準備や軽い装備などをしてから2人は城を出た。



「とてもいい季節だろ、レオ!」



「そうだな。」



うさぎやキツネが森を駆けまわっている。
鳥たちは大空を羽ばたいている。
獲物はたくさんいる。これは次回の狩りが楽しみだ。
…………まぁ、俺に狩りができるかどうかなんたが。
りなもいきなりパンが作れるようにって言ってたから、きっと俺もいきなり狩りの才能が芽生えてると信じたい。



すると、森の中に高い塔があることに気づいた。



「こんなもの、前はあったか?」



「いや、ないと思う……まさか、何者かが王家を滅ぼそうとしてアジトを作ったのか?」



騎士として、これは調べないとだめなやつ。
でも、あの塔からは綺麗な歌声が聞こえてくるばかり。
しばらく様子を見ながら隠れていると、人間ではないが人間のような姿をした……何者かが塔の下まで歩いてきた。



「ラプンツェル、おまえの髪の毛をおろしておくれ。」



そう言うと、塔の上から金色の美しい髪……丁寧に編まれた髪がおりてきた。
それを梯子代わりにしてのぼっていった。



あの本と同じだな。
ということはあの怪しいやつは妖精だな……。そして王子は……。



「レオ!俺もあの歌声の君に会いたいぞ!明日試しにのぼってみよう!」



だよね。
りな、俺そっちに戻れたら土下座して謝るよ。だからお前は俺の無事を祈ってくれ……!



俺は今更りなを信じなかったことを後悔した。