「よし、俺はそいつの準備をする!」
氏家さんが、社長のポロシャツをめくり上げて胸を出す。
「救急車を手配するように言ってきたんだが、確認したいから事務所に戻っていいか?」
「わかった市川、その女に手伝ってもらうから行ってこい!」
「おう」
慣れた感じで指示してるけど、ええっ!その女に手伝ってもらうって、私のこと?
「そこに置いてあるスポーツタオル、俺によこせ!」
「はい……」
口が悪い男性だなと思ったけど、何も出来ない私は言う通り素直にしたがう。
手渡したスポーツタオルを、氏家さんが手に取ると社長の胸の周りを拭き始めた。
「こんな時に何やってるんだと思ってるだろ」
「えっ、まあ……」
「電極を皮膚に密着させるため、汗や水分を拭き取ってるんだ」
巨漢で太った体型の社長、ゴルフを終えた後だから体が汗ばんでる。
「おい何やってる!AEDのバックを開け!」
「私がですか?」
「俺の目の前に、お前しかいないだろ!」
動揺して体を震わせている部長のことは、視界に入ってないのかな……