社長が話しを途中で止めた。

 どうしたんだろう、と思っていた次の瞬間……


 社長の大きな巨漢の体が横にフラフラし始め、その場に倒れてしまった。

 運悪く部長が座っていた椅子の肘掛けに、頭をぶつけてしまう。

 ゴンッ、と鈍い音がロビーに響いた後、社長は冷たい床へ横になったまま動かない。


「社長!だいじょうぶですかっ!」


 私はすぐにしゃがみ込んで、声をかけながら社長の体を両手でゆする。

 でも、何の反応もない。


「高梨くん!社長が、社長がっ!」


 部長は驚いた表情で、話す言葉も意味不明。

 動揺して身を固めたまま、両目をキョロキョロさせて私の名前を呼んでいる。


「急に立ち上がったから、目まいで倒れたのでしょうか!」


「高梨くん!それは!あれだっ!」


 部長に何を言っても頼りにならない。

 頭をぶつけたのも気になる。


 素人の私が見ただけでも、社長の体の状態は悪そうだ。