白井さんは私の部屋に入ると、冷蔵庫を勝手に開けて冷えたビールを飲み始めた。


「くぅー!他人の家のビールって無料だし最高に美味しいっ!」


「よくそんなこと言えるわね……」


「同級生の家、サイコー!」


「同じ歳だけど、白井さんとは同級生じゃないから……」


 白井さんのことは無視して、私はシャワーを浴びる。

 そして、パジャマに着替え濡れ髪をタオルで拭きながら部屋に戻ると……


「どうしたの?」


 缶ビールを片手に持ったまま、白井さんがグズグズと涙を流してる。


「同級生だったら、あたしの愚痴を聞いて……」


「同じ歳だけど同級生じゃないので、イヤです」


 酔っぱらいの相手なんかしてられない。

 明日は平日で、会社へ通常通りに出勤するからだ。


 私はバスタオルを放り投げ、ベッドへ横になって体に掛け布団を乗せる。

 すると、白井さんが部屋の電気を消して私のベッドに潜り込んできた。


「えっ、なに?」


「あたしの話しを聞いて……」


 私は大きな溜息をつき、白井さんに背中を向けて言う。



「どうぞ……」