「アンタ、あたしと同じ歳じゃないのさ!」


「えっ」


 白井さんと同じ歳?

 私より年上だと思い込んでいた。


「すいません。ほかのお客様に迷惑なので、もうそろそろ」


 バーのマスターが、優しく私たちに言ってくる。

 やんわりと帰ってくれのサインを出してきた。


「悪かったな市川、付き合わせちまって」


「構わないさ、楽しかったよ」


 市川さんが椅子から立ち上がろうとする。

 酔った白井さんは、帰りたくないと言い始めた。


「あたし、明日はヘリに乗らないし、昼からの勤務なのよ!」


 飲み足りないのかな? 白井さんは酒癖も悪そうだし、関わりたくない。


「ちょっと、そこの同級生!アンタ、一人暮らし?」


 白井さんが私に向けて指をさしながら言ってくる。

 私たち、同じ歳だけど同級生ではないよね。

 そんなに親しくない人を、私の家に泊めたくないし……


「いちおう一人暮らしだけど、でも……」


「じゃあ決まり、あたしを泊めなさいっ!」