「もしかして、氏家先生っ!」


 なぜか、自分でも押さえきれないハイテンションに切り替わった。

 思わず、大きな声を出してしまう。


 カウンター席に座り、グラスを片手に持って談笑していた氏家先生。

 私の声に気づいて振り返り、こっちを見つめてる。

 でも、目尻を吊り上げて嫌そうな顔をしていた。


 隣に座っていた男性も振り返って、私を見つめてくる。

 氏家先生とは対照的に、笑顔を見せる男性。

 よく見ると、市川さんではありませんか!


「すっごい偶然! 気づきませんでした!」


 私がそう言うと、市川さんが横にある椅子に席を移した。

 氏家先生と市川さんの間にできた空席。

 そこに座るよう市川さんが手招きをしてる。


 私はなぜか……身軽にスキップしながら近づいて、その席に腰を下ろした。

 お酒の力って怖い。



 平常心の私だったら、絶対にしない行動だ……