「白井は看護師で、フライトナースでもあるんだ」


「フライトナースですか……」


「現場でドクターのサポートをしたり、救急バックの管理とか忙しいんだよ」


「白井さんが……」


「あいつも一生懸命に勉強して、頑張る姿が認められた。この病院で一番優秀なフライトナースだよ」


 態度が横暴で性格も捻くれた白井さんだけど、すごい人だった。

 本当は真面目で素敵な看護師さんなんだね。

 ただ、ちょっとだけ不器用だけど……


 私はスタッフステーションを出てから、病院の広いロビーで体を休めていた。

 社長は眠ってしまったので、面会に行けば迷惑がかかる。

 とりあえず、会社に戻って常務に状況報告だけでもしようかな、と考えていた。


 病院を出ると、耳を突くエンジンが響いてることに気づく。


「ドクターヘリ、もう帰ってきた!」


 早いよ、さっき飛び去って行ったばかりなのに。


 私は無心で、その機影を追いかける。

 病院のすぐ横にある広い敷地にヘリポートが見えた。

 着地してすぐ、ヘリから降りてきた氏家先生と白井さん、後部の扉を開いて患者を素早く下ろしてる。


 ストレッチャーに乗せられた患者を運ぶ、氏家先生。



 その胸元は赤く染まっていた……