「そうなんですか、ごめんなさい……」


「用事があるんだったら、早く言ってくれ」


 私は少し俯いて、小声で話し出す。


「作業ツナギを着てるから、用務員さんなの?とか失礼なことを言ってしまいました……」


 氏家先生は、涼しい顔で答えてくる。


「俺は今日、当番なんだよ。白井もだけどな」


「当番?ですか……」


 私には意味不明で、理解できないことばかり。


「えっとですね、個人的に、ちょっと気になることもありまして……」


「なんだ」


「私に、見覚えとかありませんか?」


「知らん」


「ですよね……」


 私の一方的な思い込み、やっぱり別人だったみたい。

 なんとなく昔の面影が……人違いだ、名前も異なるし……

 私が曖昧な遠い記憶を脳裏に浮かべようとしていたら……



 スタッフステーションに設置されてる、固定電話が鳴り響いた。



 赤いランプが点滅する電話の受話器を見ると




 ホットラインの文字が……