「作業ツナギは傑作だったね」


「ちがうんですか?」


「あれは、フライトスーツらしいよ……」


「?」


 不思議顔をする私の目の前で、社長は眠りについた。


 よくわからないけど、言われた通り救命救急部医局のスタッフステーションに行ってみる。

 そこに、白衣を着たお医者の姿はない。


 みんな、青いスクラブとパンツ姿の医療ウエアだった。

 ワンピース姿の看護師さんも廊下を歩いてる。


 その中でも、青いフライトスーツを着たお医者は目に付いた。

 しかも、小型無線機まで持ち歩いてる。


「あの~、すいません……」


 机の上で書類整理をしていた氏家先生に近づき、申し訳なさそうに声をかける。

 顔を動かさずに視線を向けて私を見た後、何事もなかったようにクールな表情で言ってきた。



「ここは関係者以外、立ち入り禁止だぜ」