ベッドで横になったまま話す社長が、私にお礼を言ってくる。

 その直後、想像をしていなかった言葉を口にした。


「取引を……続けようと思う」


「えっ……」


「高梨くんが、我が社の営業担当になってくれるんだったら、検討したい」


「ぜひ、よろこんで!」


「後日、話しをしよう」


 私は頭を深々と下げて、病室を出ようとする。


「まて高梨くん、さっきの話しだけど……」


「はい」


 社長は天井を見つめたまま、私と視線を合わせずに口を開いた。


「氏家先生は優秀な救急医だ、用務員じゃない」


「そうなんですね」


「Yシャツにネクタイ姿で白衣を着てるだけが医者じゃないんだよ、彼は最前線の救急医療に精通する優秀なドクターだ」


 社長は目を瞑ると、静かに言う。


「彼はスタッフステーションにいる、空へ上がる前に会っていきなさい」



 空に上がる? 氏家先生が……