「アナタ、仕事の邪魔なんですけど」


 白井さんが目尻を吊り上げ、キツイ口調で言ってきた。


「そういえば、先生と同じ青色の作業ツナギを着てるけど……白井さんも用務員?」


 私の話を耳にした看護師さんだけでなく、周りの患者さんも笑うのを我慢してる。


「さてと、俺はボイラーの点検でもしてくるか」


 先生の声を聞いて、周りの人がクスクスと小声で笑っていた。


「キラキラOLさん、邪魔です」


 白石さんが、私に向かって「しっしっ!」と言いながら手を払ってる。

 まるで、野良犬あつかい……


 病室から姿を消していく二人の背中を見つめてると、社長が声をかけてきた。


「まったく覚えてないけど、高梨さんが助けを呼んでくれたんだって?」


 私は振り返り、小さく頷いた後で笑顔を見せながら言う。


「先生から聞いたんですね」


「そうなんだ、高梨くんには迷惑をかけたようだ」


「いいんです、気にしないでください」


「すまん、ありがとう」