氏家さんが溜息混じりで呟いてる。


「脂肪が心臓を圧迫してる、健康診断で注意されてないのか……」


 この人は社長なんです。

 社員にうるさく言うけど、自分は病院に行くのが大嫌いだって聞きました。


 なんて、言える雰囲気じゃない……


 でも、私はすっかり安心して体の力が抜けてしまった。

 力尽きて、その場にヘナヘナとしゃがみ込んでしまう。


「あっ、ああ……キミさ……」


 氏家さんが、私を見て残念そうな声で言ってくる。


「ミニスカのゴルフウェアで、しゃがみ込むの止めてくれる?」


「どうしてですか?」


「目のやり場に困るだろ……」


 私はすぐに立ち上がり、頬を顔を赤く染めた。

 なんの躊躇もなく言われたので、恥ずかしくて俯いてしまう。


「氏家、すぐに到着するらしい」


「サンキュー市川、こっちも一安心だ」



 ロビーに姿を見せた市川さん、二人はいったい何者……