「…お兄様、お顔が怖いですわ」

「あの時のセレスはとても可愛くてなぁ、私でさえセレスに口付けなんてした事無かったのに…あいつが………奪ったんだよ。その後あいつが来なくなったから、セレスはずっと泣いていたな…思い出したら腹がたってきた……幼女に手を出すなんて…サロモン殿下の言った通り、もしかして……」
「やめてくださる? ラルフ様の事をそのように…成長したわたくしをみて、また好きになってくださったの」

 嬉しそうに、いやいやと両頬を抑え頭を振るセレスティーヌ。

「そうですか…真実の愛とやらは人を変えるんだな、サロモン殿下に見せてやりなさい、今あの男は愛を求めて彷徨っているんだよ」

「元々、殿下が真実の愛を見つけたと言って来られて……わたくし本当に応援していましたのに、今は軽蔑しておりますわ。また被害者を増やすのかしら…女の敵ですわね!」

エドワール(王太子)が頭を悩ませている…セレスはサロモン殿下と婚約が破棄…いや解消となって良かったのかもな…ああいう男は同じことを繰り返すタイプだ……どこで道を間違えたのやら」

「殿下は…真実の愛と言っておられましたのに、婚約を解消する書類にサインを中々なさらなくて、イライラしましたもの…優柔不断ですのね」

 あの時のサロモンを思い出し嫌そうな顔をする。

「ああいう男はな、フラフラして結局戻ってくるところは君の所だ!とか意味のわからぬ事を言って惑わすタイプだ!それに比べたらまだラルフの方が良いのかもな…タイミングよく帰ってきてセレスを奪って…サロモン殿下にはいい薬かもな」