「クリスお兄様の意地悪っ!」
セレスティーヌがクリストファーに一言。
「なんの話だ?! 私がいつセレスに意地悪をした?」
ムッとむくれているセレスティーヌを、不思議そうな顔で見る。
「ラルフ様が国を出た理由とか、私が幼い頃にラルフ様とお約束をしていた事をどうして黙っていたの? お兄様ならご存知のはずでしょう!」
「…あぁ、その話?」
「他に何がありますの?」
「本当に忘れていたんだな…」
「幼かったですから…先日ラルフ様が邸に訪ねて来られてお庭の、」
「噴水のところね」
「そう、噴水……お兄様、何故…もしかして」
にっこりと微笑むクリストファー。顔が赤くなるセレスティーヌ。
「意地悪っ!」
「セレスが忘れていたんだろう? ラルフもしつこい奴だよな、あんな幼い子の戯言を本気にしてさ、待っているとでも思っていたのかねぇ…」
目を細めセレスティーヌを見てくる。
「あれからお会いしていなくて、忘れていたわたくしが悪いんです…でもっ、殿下と婚約をする時にラルフ様の事を教えてくだされば良かったのに!」
両手をギュッと丸め抗議するセレスティーヌ。
「ラルフだって、そんな口約束覚えているとはなぁ…それにしても幼なかったとはいえ、セレスに手を出したのが許せん…」
笑みを浮かべながら足を組む。