「あっ! そうだ、ラルフお兄様と言う呼び方はやめてくれよ」
「王弟殿下?」
「……そこは、名前で呼んでくれ」
「ラルフ王弟殿下」
「ラルフだよ」
「………ラルフ様?」
「うん、それで良い」
お兄様がなくなるだけで、急に距離が縮まる様な、特別感が、芽生えた気がした。ドキドキと心臓が高鳴る……落ち着かない。
会場に入ると、いろんな人の視線を感じるが隣にラルフが居てくれるので、全く気にならなかった…
前回の夜会で気分が悪くなり、ラルフに抱き抱えられ帰ったので噂にはなっているだろうと思っていたが、誰も口にしなかった。
夜会が始まり、もうすぐ新年を迎える。新年を迎えるとラルフはアルナンディ公爵となり、その紹介もあった。その時は流石に隣にいるのは憚れ、ラルフから離れた。
「あら! セレスティーヌさんごきげんよう」
アニエスに声をかけられた。
紹介したデザイナーはきちんと仕事をしていた様で、素敵なドレスを着ていた。
「ごきげんよう、素敵なドレスに仕上がりましたね」
にこりと微笑むセレスティーヌ。
「えぇ、セレスティーヌさんが紹介してくれたデザイナーは中々ね! また頼む事にするわ」
「それは宜しゅうございました」
きちんとレディに見える姿にホッとするセレスティーヌ。殿下の目に止まるくらいだ、アニエス自身の素材は良いのだ!