「お待たせしました……」

 照れながらラルフの元へ行く。

「セレスティーヌ、すごく似合っている! とても美しいよ」

 目を細める様に笑いかけてくれ、手を取りキスをしてくれた。

「ラルフお兄様もとても素敵です……」

 同じサファイヤの様な生地の衣装にピンクゴールドのチーフを付けていた。セレスティーヌの髪の色、すごく嬉しくて破顔した。

「その笑い顔は昔と変わっていないな、可愛いセレスティーヌ」

 邸のメイドも母もほっこりとした雰囲気になっていた。身内にそんな姿を見られてとても恥ずかしい。

「ラルフお兄様、早く行きましょう、恥ずかしいからっ」

 ぐいぐいと腕を押すように外へ行こうとする。

「夫人それではセレスをお借りします、帰りもちゃんと送り届けますので」

「えぇ、どうぞよろしくお願い致します」

 そそくさと邸を出て行くセレスティーヌ。

「レディが焦って邸を出るなんて」

くすくす笑われる。

「だって…」
「セレス思っていた以上に似合っているよ…そのドレスの意味わかった?」

こくんと頷き
「……嬉しい」

 一言告げる。恥ずかしいやら嬉しいやらで、外の景色を見て気分を落ち着かせる……


 馬車から見る外の景色がいつもよりキラキラして見えるのは、雪がチラついてきたからだろうか……
 外は寒いはずなのに、寒さも感じられないほどに暖かい何かがある。向かいに座るラルフもどことなく嬉しそうなので、思わずにやけてしまう。