会場に入るとすでにたくさんの人が集まっていた。視線が痛いのではないだろうか……と思っていたが皆が優しい目をしていた。
「大丈夫だよ、みんなセレスティーヌが身を引いた事を知っているが、悪く思ってないよ」
こそっと耳元でクリストファーに言われる。
「ね、堂々としていれば良いんだ」
こくんと頷くセレスティーヌ。
クリストファーに声を掛けてくる知人との話を聞いたり紹介されたりと、両陛下が登場するまでの時間は忙しなく過ぎた。
ようやく、王太子殿下、両陛下が登場となる。いつもならサロモンと一緒に登場していた自分は今ここに居る、不思議な感覚である。
あれ? 殿下がいない……
不思議に思い兄の顔を見ると、兄も分からないと言った顔つきだった。その後外国から帰ってきた王弟殿下の紹介があり、乾杯をしてパーティーの始まりとなった。
兄とファーストダンスを踊る。いつもはサロモンと踊っていたので不思議な感覚だったが兄とのダンスは楽しかった。
その後色んな男性からダンスのお誘いがあったが、兄が断ってくれた。頼りになるわ。