「なにか言いました……?最近耳が遠いのかしら」
「殿下が真実の、」
「っ聞こえませんっ!」
「ですから、」
「セレスティーヌ! なぜなの?! わたくしは貴方のことを、娘だと思っているのです……真実の愛だなんて、そんなものサロモンの気の迷いです!」
「いえ! 真実の愛ですのよ? 真実の愛を得るなんて素晴らしい事です。わたくしはそんな殿下を尊敬致します」
「セレスティーヌ……」
言葉を失う王妃様。
「十年間お世話になり感謝しております。このようなわたくしをお叱り導いてくださりました事、心からお礼申し上げます」
深々と礼をする。
「それでは失礼致しま」
「お待ちなさいっ! なんでよぉ……嫌よぉ……セレスティーヌが、サロモンのお嫁さんに来てくれないなんて」
「ご安心下さいませ。殿下の愛する方がわたくしの代わりに王妃様をお慰め下さいます、とても可愛らしい方ですのよ?」
「会いたくないわ……」
「こんなわたくしをお許しくださいとは申し上げません、王妃様のお顔を見るのがとても心苦しいので退出させていただきます……」
「……セレスティーヌ」
深々と礼をしてこの場を去る