「私から先にサインをします」
早くこの場から去りたい気持ちでサラサラと婚約を破棄する旨の書類にサインを書く。
「殿下どうぞ」
と言うと
「考えてみる……」
馬鹿げた返事が返ってきて、イラっとしてしまう。レディとしては失格であろう。
その後サインを書かれた殿下から書類を受け取り、王妃様に挨拶をさせてもらう事にした。
「王妃様突然ではありますが、今までお世話になり、ありがとうございました」
淑女の礼をする。
「なぁに?セレスティーヌ改まって……」
不思議そうな顔をする王妃様。
「殿下がこの度、真実の愛を見つけられたようで、わたくし達の婚約は白紙となりますので最後にご挨拶に伺いました」
ピキッと何かヒビが入るような音が聞こえたが気にしないでおこう。立つ鳥跡を濁さずと言いますもの。