「真実の愛を見つけた」

 元婚約者様であるサロモン・ド・アルベーヌ殿下がそう仰った
 大変喜ばしい事で心から応援したいと思った
 婚約破棄をしたいと仰るので、勿論応じた。

 私の両親も、両陛下も真実の愛で結ばれたと聞く。真実の愛を見つけられた殿下の前から退場するのは当然の事……

「十年も共に過ごしてきた……」

 そう仰るが、殿下が真実の愛を見つけた以上わたくしは邪魔者以外の何者でもない。その言葉を貰っただけで十分だった。

「相手が、誰か知ってるのか……」

 ……学園で知らないものはいないと思う
「子爵令嬢でございましょう?」
 …下町で出会ったことも噂で聞いていた。
 人目を忍んで逢瀬を楽しんでいるのも知っていた。真実の愛、故の行動なのだろう。