案の定、カメラマンさんもスケジュールがパンパンみたいで、

困った顔をしている。

「……来月号の雑誌、俺が表紙をする」

「……え?」

撮影を見学していた木枯くんからとんでもない言葉が出てきて、その場にいた全員が

固まる。

初めて私の撮影に足を運んでくれた社長も、こめかみに皺を寄せてため息を

ついている。

「あなた、本気なの?もう読者には雨が出るって言ってあるのよ?」

「本気です。撮影時間、後三十分しかないでしょう?今の状態の雨ではとても表紙を

飾れる写真は撮れません」

……っ。

そう、だよね……。

私は今、木枯くんに幻滅されているんだろう。

原石だと言ってくれたけど、そう言ったことさえも後悔しているのかもしれない。

「私も、それがいいと思います……」

気づけばそう言っていた。