考えを否定できない。

……私、春に嫌われちゃったのかな……。

いつも率先して私の手を取ってくれた春。

臆病で、泣き虫で、常に春の後ろに隠れて育ってきた私は、私とは真逆の、

勇敢で、明るくて、常に私の前に立ってくれていた春の背中を見て育ってきた。

今回のモデルの仕事も、春が練習していたように、見よう見まねで

真似をした。

だから今、こうしてモデルとして知名度が上がっていくのも、春のおかげと言ってもいい

くらい、春に支えられている。

そんな春に嫌われてしまったら、私は———。

「雨ちゃん、今日はどうしたの?表情が硬いよ?」

「す、すみませんっ……」

カメラマンさんにそう指摘されて、慌てて頭を下げる。

正直、春のことで頭がいっぱいで、他のことを考えたくないのだけれど、

せっかく時間を割いてもらっているんだから、そんなこと言えない。

「はぁ……僕、この後も仕事があるから、撮影時間、伸ばせないからね?」

「はい……」