小田さんが他のマネージャーさんたちを見て、自信を無くしてしまっている。

どうにか不安を和らげられたらいいんだけど……。

……そうだっ!

そばのテーブルにあった割り箸と、マッキーを見つけて、いいことを思いつく。

「小田さん小田さん、今からマジックをしますね!」

「……え?」

突然そう言い出した私にびっくりしながらも、小田さんは私に向き直る。

「ここに、黒い丸が一つありますよね?」

「うん、あるね」

「裏側も同じように一つだけ丸を描きました」

「はぁ……」

小田さんはそれがどうかしたの?とでも言うように首を傾げている。

「でも、ここに手をかざしてから見てみると……」

「丸が二つになってるっ!」

私が言うよりも先に小田さんがそう叫んで、マジックが成功したことを実感する。

よかったぁ……もう緊張はしてなさそう……。