「木枯くん」

「何?」

「私を社長さんに合わせてくれてありがとう」

撮影スタジオに向かっている車の中で、隣に座っている木枯くんにお礼を言う。

木枯くんのおかげで私は変わるチャンスができたんだ。

「別に、俺があわせたかっただけだし」

「……照れたの?」

「照れてねーし!」

そう言った木枯くんの耳は、真っ赤に染まっていた。