「えぇー、凛はママとりょーせー君の三人で行きたいのにー」

 しゅんとなる凛の姿を見たらチクリと胸が痛むものの、凛のためでもあると自分に言い聞かせる。

「碓氷さんは普段、お仕事で疲れているの。お仕事がお休みの日は身体を休めないと。凛だって保育園お休みの日はゆっくり寝ているでしょ?」

「そうだけど……」

 腑に落ちない様子で凛はチラッと遼生さんを見る。すると彼はゆっくりと立ち上がった。

「萌ちゃん、俺なら大丈夫だよ。むしろ貴重な休みだからこそ萌ちゃんたちと過ごしたいんだ」

「えっ?」

 少しだけ照れくさそうにはにかむ姿に、ドキッとなる。

「せっかく凛ちゃんとも知り合えたんだ、もっと仲良くなりたい」

 彼は今、どんな気持ちで言っているのだろうか。なぜこんなにも私と接点を持とうとするの? だって私たちは赤の他人だ。商店街のプロジェクトが終われば、遼生さんは東京に戻るんでしょ? それなのに……。

 遼生さんとは関わらないのが一番だとわかっているのに、会うたびに心が大きく乱されてばかり。