凛の身支度も整えて急いでレジへと向かうが、会計は済まされていた。

「凛ちゃん、またおいで」

「うん! またハンバーグ食べにくるねー」

 手を振る凛に応えながら店主は私と遼生さんは交互に見て、意味ありげに微笑んだ。

「萌ちゃんと男前の兄ちゃんもまた一緒に来てくれよな」

 店主の顔を見るに、私と遼生さんが親しい関係だって勘違いされている気がする。

「はい、ありがとうございます」

 しかし動じずにナチュラルに返事をした遼生さんに、店主は小首を傾げた。

「あ、あぁ」

 そっか、変に誤魔化したり慌てたりしたら余計に誤解されるだけ。肯定も否定もしないことがベストなんだ。

「また食べに来ますね」

 遼生さんを見習って返事をし、三人で店を出た。

「食事代を支払っていただいてしまい、すみませんでした」

 改めて伝えると、遼生さんは「謝らないで」と言って続けた。

「本当にふたりと食事をできて楽しかったんだ。だから〝すみません〟じゃなくて〝ありがとう〟が嬉しい」

「あっ……」

 思わずまた「すみません」と言いそうになり、口を結んだ。