今のところ、遼生さんは凛を見てもなにも感じていなそう。でも長時間一緒にいたらわからない。自分と似ていると気づかれてしまう可能性もある。
 ここは一刻も早く離れてほしいものの、どうやって言えばいいのやら。

「あのさ、もしよかったら一緒に食べてもいいかな?」

「えっ! 一緒にですか!?」

 思いもよらぬことを提案され、思わず大きな声が出てしまった。

 そんな、三人で食事だなんてとんでもない! 絶対に断るべきなのに、遼生さんの話を聞いた凛は目を輝かせた。

「お兄ちゃんも一緒に食べてもいいよね、ママ」

「えっと……」

 薄焦げ茶色のアーモンドアイでふたりとも見つめてくるものだから、どうしたらいいのかわからなくなる。

 いや、断固拒否するべきだけれど、その理由が思いつかない。それにここで断ったりしたら遼生さんに変に思われてしまう可能性もある。だったらここは受け入れるのが得策だよね?

 苦渋の決断を下し、「はい、もちろんです。どうぞ」と伝えた。

「ありがとう、お邪魔します」

 嬉しそうに言うと、さっそく遼生さんは私たちとテーブルを挟んで向かい合うかたちで腰を下ろした。そして興味津々に凛を見つめる。