ここには明子さんたちと四人で何度か食べに来たことがある。文博さんと店主は昔からの知り合いで、よく私たちが来るとサービスと言ってなにかご馳走をしてくれていた。

「はい、凛ちゃん。エビフライも食べてね」

 やはり今日も凛のハンバーグにエビフライのトッピングをサービスしてくれた。

「わぁー! エビフライだ! 凛、大好き!」

「それはよかった。いっぱいお食べ」

「おじさん、ありがとう!」

 満面の笑みでお礼を言った凛に、店主は嬉しそうに頬を緩めた。

「いつもすみません」

「いいんだよ、気にしなくて。あ、もちろん萌ちゃんにもエビフライをサービスしたからね」

「ありがとうございます」

 少し遅れて運ばれてきた和風ハンバーグには、凛と同じようにエビフライが付いていた。

「よかったね、ママもエビフライもらえて」

「そうだね、よかった」

 ソファ席に並んで座り、ふたりで手を合わせて、さっそく美味しいハンバーグに舌鼓を打つ。

「おいしいー」

「あ、凛。口に付いてるよ」

 凛の口に付いたご飯粒を取り、ご飯や付け合わせの野菜もバランスよく食べるよう促す。

 時刻は十九時前。少しずつ混雑してきた店内にまた新たな来客がやって来た。