「あのね、佳那ちゃんのパパの料理はおいしくないから、いつもお外に食べに行くんだって。今日はハンバーグを食べるんだって佳那ちゃん言ってた」
「そうなんだ」
「うん。……急に佳那ちゃんのママがいなくなっちゃったから、パパがすごーく頑張ってるんだって」
「……そっか。えらいね、佳那ちゃんパパ」
保育園に通う子供の中には、様々な事情を抱えている家庭の子も多い。うちもそうだけれど、佳那ちゃんの母は一年前に病死したと聞いている。
それから男手ひとりで育てているらしく、凛から話を聞くに大変そうだ。
「ママも、パパがいなくて悲しいよね」
「えっ?」
凛がポツリとそんなことを言ったものだから、思わず足が止まってしまった。すると凛は顔を上げて真っ直ぐに私を見つめた。
「だって凛のパパも痛い病気でいなくなっちゃったんでしょ? ……ママも悲しいし、パパも痛い痛いだったね」
「凛……」
そう、だよね。私……凛に聞かれないことをいいことに、ちゃんと父親の存在を話したことがなかった。
それなら佳那ちゃんのママのように、病気で亡くなったと勘違いしても仕方がない。それはよくないことだ。
小さく息を吐き、凛と目線を合わせるように膝を折った。
「そうなんだ」
「うん。……急に佳那ちゃんのママがいなくなっちゃったから、パパがすごーく頑張ってるんだって」
「……そっか。えらいね、佳那ちゃんパパ」
保育園に通う子供の中には、様々な事情を抱えている家庭の子も多い。うちもそうだけれど、佳那ちゃんの母は一年前に病死したと聞いている。
それから男手ひとりで育てているらしく、凛から話を聞くに大変そうだ。
「ママも、パパがいなくて悲しいよね」
「えっ?」
凛がポツリとそんなことを言ったものだから、思わず足が止まってしまった。すると凛は顔を上げて真っ直ぐに私を見つめた。
「だって凛のパパも痛い病気でいなくなっちゃったんでしょ? ……ママも悲しいし、パパも痛い痛いだったね」
「凛……」
そう、だよね。私……凛に聞かれないことをいいことに、ちゃんと父親の存在を話したことがなかった。
それなら佳那ちゃんのママのように、病気で亡くなったと勘違いしても仕方がない。それはよくないことだ。
小さく息を吐き、凛と目線を合わせるように膝を折った。