「さ、そろそろあいつも戻ってくるだろうし、萌ちゃんも休憩に入ってくれ」

「はい、それじゃお先に上がらせてもらいますね」

「あぁ、お疲れ」

 それから文博さんに店番をお願いして休憩に入ったものの、様々な思いが頭をよぎってゆっくりと休むことはできなかった。

 保育園に迎えに行くと、凛は園庭で友達と遊んでいるところだった。最初は友達ができるか不安だったけれど、今では私が来たことにも気づかないほど夢中で遊んでいる。

 無邪気な姿を微笑ましく眺めていると、先生に呼ばれた凛は私に気づき、笑顔で駆け寄ってきた。

「ママー!」

「おかえり、凛」

 スピードを緩めることなく駆け寄ってきた凛を優しく抱き止めた。

「今日も楽しかった?」

「うん、みんなでねーお絵描きしたんだよ。それとおやつにはね、クッキーが出たの」

 身振り手振り説明する凛が可愛くて仕方がない。

 凛を下ろして先生から一日の様子を教えてもらい、荷物を受け取った。

「凛ちゃん、また明日ね」

「うん! 先生、さようならー」

 先生に向かって大きく手を振った後、凛は私の手をギュッと握った。

「帰ろうか」

「うん! おうちに帰ろー」

 手を繋いで歩き出すと、ちょうど凛の友達も父親が迎えにきたところで、帰るところだった。

「凛ちゃん、バイバーイ!」

「うん、佳那ちゃんまたねー」

 たしか佳那ちゃんもうちと同じ片親世帯だった気がする。