選んだ焼き菓子を綺麗にラッピングしていく。

「おまたせしました」

 会計を済ませた和泉君に商品を手渡した。

「ありがとう。じゃあ土曜日のそうだな、十時頃に迎えに来るよ」

「うん、わかった。凛に伝えておくね」

「よろしく」と言って和泉君は大きく手を振りながら帰っていった。その後ろ姿を見送った後、文博さんは「凛が帰ってきて聞いたら喜ぶな」と顔を綻ばせた。

「はい、凛は和泉君のことが大好きなので大喜びすると思います」

 その時の凛の様子が容易に想像できて頬が緩む。

「和泉君は相当凛に好かれているからな。青果店の後継ぎとして立派に成長したし、俺としては和泉君になら萌ちゃんと凛を任せてもいいと思っている」

 明子さんも前に同じようなことを言っていたけど、やっぱり文博さんも同じ気持ちなのかな。

「まぁ、ただのおせっかい伯父さんのひとりごとだと思って聞き流してくれていい。ごめんな、変な話をして」

「いいえ、そんな」

 明子さんも文博さんも、私と凛のことを想ってのことだとちゃんとわかっている。……わかっているからこそ、和泉君と一緒になり、幸せになってほしいというふたりの望みを叶えてあげられなくて申し訳なく思う。