本当だったら今頃はどこかの観光地にいて、遼生さんとふたりで見つけた旅館やホテルに泊まり、一緒に過ぎていたはずなのに……。

 少しずつ遼生さんに別れを告げられたと実感してきて、目頭が熱くなってきた。

「本当に遼生さんとはもう終わりなのかな」

 お互い今以上に好きになれる人はいないと想いを伝え合い、ふたりで生きていこうって約束したよね? 遼生さんと一緒ならどんなにつらい日々だとしても幸せになれると信じていたのに……。

 一筋の涙が溢れてからは、とめどなく流れて止まらなくなる。

「ふっ……うっ……」

 連絡がつかず、今月いっぱいは解約しないと言っていたマンションがもぬけの殻になっていたんだ。遼生さんは私との関係を終わりにしたいと認めるしかない。

 そうわかってはいるけれど、簡単に気持ちの整理などつくはずがなく、この日は一晩中泣き続けた。

 次の日の朝。寝ていないからか頭が働かず、身体も重くて動かなかった。このまま連泊させてもらい、一日中泣きはらした。
そしてさらに次の日。水分しか取っていなかったのだから当然だけれど、お腹が空いて目が覚めた。

「悲しくてもお腹が空くんだ」

 ずっとグーグーなっているのが可笑しくて、乾いた笑い声が漏れる。