今が夜で本当によかった。昼間だったら赤面していることに気づかれていただろう。

 帰りの車内でも、会話は何度か途切れた。今もそう。私が緊張しているから言葉が続かないでいる。

 それなのに彼の隣は不思議と居心地がよくて、家に着いたら帰ってしまうのが寂しく思うほど。自然と歩くスピードが遅くなる。

「今日、俺が話したこと、どうか忘れないでほしい」

「……はい」

 忘れられるわけがないよ。だって大好きな人に告白されたのだから。
 その後はお互い口を開くことなく家の前に着いた。

「それじゃまた連絡してもいい?」

「はい」

 私の返事を聞き、遼生さんはホッとした顔を見せた。

「今日はありがとう。弁当もご馳走様」

「こちらこそ本当にありがとうございました」

 寝ている凛を遼生さんから預かる。すると彼は気持ちよさそうに眠る凛の髪を優しく撫でた。

「凛ちゃんもまたね」

 寝ている凛に挨拶をして、遼生さんは「おやすみ」と言いながらなぜか帰ろうとしない。

 見送るべきだと思い戸惑っていると、遼生さんは眉尻を下げた。