「ごちそうさまでした。すごくおいしかったよ」

「碓氷さんのお口に合ってよかったです。よかったら珈琲を淹れてきたのでどうぞ」

「ありがとう」

 水筒から紙コップふたつに注ぎ、ひとつは遼生さんに渡した。

「あの、凛重くないですか?」

「全然。可愛い寝顔を特等席で見られて幸せだよ」

 朝早くに起きたせいか、お腹がいっぱいになった凛は、遼生さんの膝の上で眠ってしまった。

「頭を撫でてもいい?」

「もちろんです」

 私の許可を得ると、遼生さんは愛おしそうに凛の頭を優しく撫でる。その姿に胸が熱くなった。

 彼はどんな気持ちで凛に触れているのだろうか。……いや、特に意味などない。ただ、単に凛を可愛いと思ってくれているだけだろう。

「俺の友達でも、何人か結婚してもう子供が三人もいるやつもいるんだ」

「そうなんですね」