「りょーせー君のモルモットさんも触ってもいい?」

「もちろん」

 凛はゆっくりと手を伸ばし、そっとモルモットに触れた。

「温かい!」

「そうだね、温かいね」

 凛の反応に遼生さんはクスリと笑う。

「ママ、写真撮って!」

「はいはい、わかったよ」

 遼生さんとの写真をお願いされるのは、今日で何度目だろうか。

 ふたりでピースしている写真を撮っていると、飼育員に「よかったらご家族三人のお写真を撮りましょうか?」と声をかけられた。

 断ろうとしたが、それより先に凛が「三人で撮ろう!」と言ったものだから、カメラを飼育員に渡した。

 そして別の飼育員が私の膝にもウサギを乗せてくれた。

「ふふ、ご家族三人でお揃いコーデ、可愛いですね。仲がよろしくて羨ましいです」

 到着してからというもの、同じことを何回も言われている。そうだよね、他人の目には仲が良い家族に見えるはず。

 それが嬉しくもあり、せつなくもある。だって私たちは家族ではないのだから。

 もちろんそれを一々説明するわけにもいかず、言われるたびに私も遼生さんも「ありがとうございます」と答えていた。

「それでは撮りますよ」