「ねえ、さくら。ゴールデンウィークはどうするの?」

朝の更衣室。
制服に着替えながら遥が聞いてくる。

「うーん、それがね。田舎のおばあちゃんが足を捻挫したらしくて。様子を見に行くつもりなんだ」
「えー、せっかくの連休なのに?」

同情するような顔で、遥はさくらを振り返る。

「うん。おばあちゃん、ひとり暮らしだしね。田舎だと、買い物に行くのもひと苦労だから。遥は、確かハワイに行くんだよね?楽しんで来てね」
「うん!お土産買ってくるねー」
「ありがと!」

すでにウキウキとした様子の遥に笑いかける。

「それにしても、さくらって髪サラサラだよね。ストレートパーマとか縮毛矯正とかしてるの?」
「ううん、何も。昔からずっと、カットしかしたことなくて」
「それでそんなに綺麗なロングストレートなの?羨ましい」
「そう?ペターッとしてて、あんまり好きじゃないんだけど。私は遥みたいに、ふんわりした髪に憧れる」

髪を1つにまとめ、後ろでシニヨンを作りながらさくらがそう言うと、お互い無いものねだりだね、と遥は苦笑いする。

「さてと!明日から楽しい連休だし、今日も1日頑張ろうー!」
「オー!」

二人で顔を見合わせて笑ってから、ロッカーを閉めた。