「~~っ! ご、ごちそうさまでした!」



 俺は急速に食器の片付けをし、自分の部屋にこもることにした。


 体の熱が顔に集中する。


 あんなの、あんな表情。



 ――緋織先輩、絶対俺のこと好きじゃん……!



 いや、わかっている。俺はフラれた身。あれは親に対する、家族愛のようなもので。


 いやわかんねぇよ。


 あからさま視線からハート飛んでただろ。



「っあ~~……諦めつかないってあんなの……」



 もうこれを利用するしかなくないか?


 緋織先輩があんな感じで距離を縮めてくるなら、同じように応えるのがスジってものだ。


 緋織先輩とイチャイチャ、して~~。



「するか」



 なんかもうわからないし、やりたいようにやる。


 考えがまとまったので、緋織先輩の元に戻ることにした。


 今日はおばさんの帰りが遅いらしく、まだ二人きり。深く考えると何かを破壊してしまいそうだった。


 今から壊します。



「あ、スイくん。お風呂もうすぐ沸くけど先入るー?」

「一緒に入りましょう」

「はぇ、へ?」



 あっ、ちょっとこれはライン越えすぎ。



「先に入ります」

「ん、うん……、……?」



 緋織先輩は小さく首を傾げて、俺の顔を覗き込む。



「……一緒に入りたいの?」



 入りて~~(やめとけ~~)。


 相反する意見が頭の中でぶつかり合う。