付いていけない変わり身の早さに目を白黒させていると。


 ついにしぃちゃんは打ち明けた。



「実は――スイくんの恋路を面白がって引っ掻き回していたわ」

「え?」

「成世先輩と一緒に」

「え!?」


「やっぱりそうじゃねぇかこの悪女!」



 大ちゃんのツッコミが入る。


 あっ、いつもの様子に戻ったんだ。



「そういうつもりはなかったのよ? ただ結果的にはそうなってしまったわ」

「どういうこと……?」

「……わたしはね、緋織に出会うまですごくつまらない人生を歩んでいたの」



 しぃちゃんの大物女優モード再来。


 頬に手を当てて寂しそうな表情。はぁっと漏らす色気のあるため息。



「わたしに良い顔をする男達、求めれば全て叶った願い、発言に予測のつく人間関係……。なにもかもがつまらなくて、退屈で……」



 ガシッ!



「うわぁっ!?」



 両手で掴まれた手にびっくりして声が出た。


 しぃちゃんは真正面から私を真剣に捉える。



「――そんなとき、あなたに出会ったの」