ひとまず大ちゃんが落ち着くまで、食べ物や飲み物を与えて時間が過ぎるのを待つ。
「緋織の方はどうだったの? 向こうでのスイくんとの同居は」
「えっ!?」
矛先が急にこっちを向いてきた。
ニヤニヤしているのに美人なしぃちゃんの笑顔にたじろぐと、さらに前に乗り出してきて逃げ場がない。
「どうなのよ?」
「うぅ、えっとっ……」
両思いになったことは、直接言った方がいいかと思ってまだ告げていない。
けど、いざ言うってなったら緊張するっ……!
「あ、あのっ……無事、上手くいったと言いますかっ……」
顔が熱くなっていく。
店内の冷房が足りないくらいだ。
「……そう。そうなのね」
「し、しぃちゃん……?」
「緋織……わたしはね、あなたに謝らないといけないことがあるわ」
「え、え……?」
な、なに?
突然しんみりした空気作ってきたよ?
しぃちゃんはストローを回してカラン、とコップに入った氷を鳴らす。
伏せられた瞳を隠す長いまつげで憂いを演出している。
大物女優のエチュード始まっちゃった?