ぁ……、だめ、これ、は。


 全身をぶわっと熱が包む。


 とめどなく好きって溢れるのを抑えたくて、スイくんにしがみつく。


 だけどそんなことじゃ、抑えられるわけがなくて。



「さ、次は緋織先輩の好きな人でも聞きましょうか?」

「っ……スイ、くんっ」

「はい?」

「だ、だから、スイくんっ」

「なんですか?」

「~~っ! い、イジワルしてるっ!?」



 スイくんの笑い声が響く。


 私も、スイくんに笑顔でいてほしい。


 から、ちゃんと言おう。



「私もスイくんが大好きっ、一生一緒にいてくださいっ……!」



 絶対に離してあげないって意味も込めて、ぎゅーっと強く抱き締める。


 スイくんも応えるように強く閉じ込めてくれた。


 これ、現実なんだ……。



「緋織先輩、ご褒美……いいですか?」

「何がいいか決まったの? ……あ、」



 おでこがこつんとくっついた。


 この顔の近さじゃ、何をするかなんて明白だ。



「……ずっとこうしていたかったです」

「そ、そっか。あ、う、その、私もスイくんとしたかった……です」



 それがきっかけで気付けたっていうところもある。


 ぎゅっと目を瞑った。


 スイくんの吐息が唇を温める。



 ――……ちゅ。



 触れて目を開けた途端、ふる、とスイくんのまつげが震えるのが見えて。


 スイくんとキスしたんだって、遅れて認識した。