さて、スイくんの番だ。


 何を取るんだろう! 考えてたら銃声が一発鳴り響く。


 あっという間にパン! と合計五回。


 悩む素振り一つなく放たれたコルクは全て別々の景品に命中した。


 スイくんはもらった景品を涼しい顔で袋に入れる。


 文字通り開いた口が塞がらないでいる私。


 プロの早撃ちだったよ!



「大きい方と数が多い方、どっちを勝ちにしますか?」



 どことなく誇らしげに、スイくんが微笑みかけてきた。



「す、すごかった! かっこよかったよ!
スイくんの勝ちでいいですよっ!」



 拍手を送る。


 素直な称賛しか出てこない。



「……そうですか」



 そうしたら、スイくんは照れて目を伏せる。


 あ、可愛い……。


 きゅう、と胸が締め付けられた。


 こんな感情、持ってたってもう無駄なのにな。



「な、何かご褒美ください」

「ごほうび!? うーん、いいよ! 何がいいかなぁ、なんでもいいよ!」

「なんでもって……キ」



 スイくんが何かを言いかけて、



「え!? 四宮じゃね!?」



 誰かがそれを遮った。


 地元の小さなお祭り、となればスイくんの知り合いがいたって何もおかしいことはない。


 声をかけてきた子を筆頭に、男の子四人がスイくんの顔を見て明るく喋り始める。