お酒と女性ものの香水の匂いがして、びっくりした。医者なのになんてことだろう。呼び出しもあるんだからこんなにお酒飲むなんて信じられないと睨むような目で彼を見たら、私を抱き上げてベッドへ連れて行った。

 「あ、やめて、せんせ……」

 服をむしり取られて、私を抱きしめると震えている。

 「紫。頼む。何が気に入らないんだ。どうして何も言ってこない。俺がいらないのか?俺はおかしくなる。一ヶ月もお前に無視されて、どうでもいい他の女が周りに群がってきて気持ちが悪い。助けてくれ。俺はお前がいいんだよ。お前だけなんだよ、好きだ、紫」

 そう言うと酒臭いキスをして、身体をまさぐり、愛してるだの、好きだの、可愛いだのと抱きながらずっと言っている。

 私が拒絶しなかったので安心したんだろう。彼はぐっすり眠り、シャワーを浴びて、翌日嬉しそうに病院へ出て行った。